治療について

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精索静脈瘤(顕微鏡下精索静脈瘤手術)

精巣からの静脈へ血液が逆流してうっ血を起こし、進行すると陰嚢内にでこぼこした隆起として触れます。なかには違和感や鈍痛を伴う場合もあります。男性不妊症の35%に認められ大半が左側にできます。本来体温よりやや低い状態の陰嚢内の温度が上昇するために活性酸素が増えて精子の産生量が減る、あるいは受精能などに不備のある精子が増えます。放置すれば精液所見が悪化し、まれに無精子症となります。ご本人が判らないような段階で影響があるため、一度は受診をお勧めします。視触診やエコー検査で診断し、治療の必要性を調べます。

手術は局所麻酔(当施設)あるいは全身麻酔で行い、どちらも健康保険の適応です。当施設の執刀医は過去に多数の実績があります。方法は、顕微鏡を使用して鼠径部を小切開して逆流してくる静脈をすべて遮断します。この際に動脈や必要最小限のリンパ管は温存します。全身麻酔では川西市立総合医療センターで1泊入院が必要です。まれに両側に認める場合などでは腹腔鏡を用いた手術を行います。なお、当然のことながら安全第一の手術を行ってきましたが過去に大きな合併症を認めたことはございません。最後に、我々の過去のデータを一つだけ紹介しますが、左精索静脈瘤があると左の精巣が少しずつ小さくなりますが、手術3カ月後には再び大きくなっていることを確認しています。

グレード1立位腹圧負荷によってはじめて触診で診断できる
グレード2立位で容易に触診で診断できる
グレード3立位で視診で診断できる

精巣内精子採取術(TESE)

精巣内精子採取術(TESE)とは、生殖医療の一環で無精子症に対する治療法です。その中でも手術用の顕微鏡を用いて術野を拡大しながら精子採取を行う術式を顕微鏡下精巣内精子採取術(Micro-TESE)と呼びます。精巣の中にある精細管を調べ、1個の精子でも発見できればそれを採取して、すぐに体外受精に用いるか一旦凍結保存します。片側の精巣で精子が見つからない場合は、両側ともに行います。

閉塞性無精子症や射精障害の場合などは、顕微鏡を使用しない短時間の手術での精子回収が期待できます(Simple TESE)。

適応

・非閉塞性無精子症

・精路再建不能な閉塞性無精子症

・不動精子症、死滅精子症、射精障害

など

手術による精子回収率

閉塞性無精子症(Simple-TESE)で約90%、非閉塞性無精子症(Micro-TESE)で約30%です。